2006年3月31日から1泊2日でドイツはファルツ地方、フェニンゲン村にある「マリエンホーフ社」を訪問してきました。昨年11月に坂本酒店に来店してくれて以来4ヶ月半ぶりの再会。確かに彼等が帰る間際に、いつか必ずドイツに行くと、マリエンホーフ社を訪ねると約束しましたが、まさかこんなに早く訪問する機会が訪れるとは!!ドイツワイン基金さんに感謝です。

 マリエンホーフ社はファルツ地方でも南部にあたるズュートリッヒェ ヴァインシュトラーセ(南部ワイン街道)のフェニゲン村(Venningen)にあります。古い街道に面した建物の2階に聖母マリアの像があり、「聖母マリアの家」がマリエンホーフの社名の由来となっています。
 ファルツで最も優れたワイン醸造家として著名なゲオルグ モスバッハー家を訪問した際、この後マリエンホーフ社に行くと告げると、モスバッハーのザビーネさんが「近いから大丈夫よ!!車で送っていくわ!!」と言って下さり、初めてのマリエンホーフ社訪問となりました。

 マリエンホーフ社は、マリエノフとか、カタカナ名称が統一されていないと思うのですが(インポーターさんのHPでもごっちゃになってますよ^^;)、web上ではマリエノフ社として使われることが多いようです。しかしながらドイツ語をちょこっとかじった立場から言わせていただければ、「Marienhof」は「聖母マリアの家」の意味であり、「Marien」の発音は「マリーエン」で「聖母マリアの」という意味、「hof」の発音は「ホーフ」で「農家の屋敷」とかいう意味なので、「マリーエンホーフ」だと思います。しかしながら坂本酒店では、インポーターさんのパンフレットにある「マリエンホーフ」を使用したいと思います。(ひょっとして、名詞の頭に付くときにマリエノフになるのかな?ネイティブの発音だとそう聞こえるのでしょうか?ドイツ語の発音に詳しい方いらっしゃいましたら、アドバイス願います。)




 久しぶりの再会となったレネ君は、前に日本で見せたのと同じように、ちょっと照れくさそうに優しく笑いながら歓迎してくれました。日本人の私の目から見たら、ちょっと大人びて見える彼は実は25歳。まだちょっと子供っぽいような反応を見せて可愛い(困ることもあるけど(笑))とはインポーターさんのお言葉。彼の造るリキュールのように、優しく素直で真面目、そしてちょっと素朴な印象を受ける人柄でした。

 そんなレネ君は実は、ケラーマイスターの資格を取った学校で、化学の勉強をしてきたケミカリスト(化学者)。そのケミカリストが、人間の体には自然の物が一番良くて、ノンケミカルであることがとても重要なんだと繰り返し説明していました。ケミカリストが言うからもの凄い説得力(^^ リキュールに使うフレッシュフルーツやバラの花に、無農薬の良い素材を使うのは、自分達のリキュールを実際に自宅で使っている彼等にとってもは当然の事のようです。そう、彼等のリキュールは、大切な家族の為に丁寧に造っている物なのです。

 本当はどうやってリキュールを造るのか詳しく知りたかったのですが、そこは職人集団のトップシークレット。ちょっとコアな質問をしようとすると、「それは秘密なんだ」と、絶対に教えてくれません。まぁそんなところも、神秘的なリキュールの魅力の1つかなと思って我慢しました。実際の話、大手の酒メーカーが彼等のレシピを知りたがっていたり、日本の酒造会社が彼等のリキュールを真似て新製品開発を進めようとしているそうです。最新の技術力で、彼等のリキュールそっくりの物を造ることは、おそらく難しいことではないでしょう。しかしながら無着色・無香料・無添加(ただしバラのリキュールのみ砂糖大根(ビート)から抽出した甘味料を使用)を貫く彼等のリキュールほどの魅力が出るでしょうか?出ません。私たちにとって大事な事は、大切な人のために造っているという彼等の心なのですから。
 リキュールのテイスティングは、自分の感覚を確認する意味合いで、すでに坂本酒店で扱っているリキュールを中心に行いました。いつ試飲しても、そのバランスの取れた果実味と香りは素晴らしいの一言です。この日まで1週間ドイツに滞在して、心身共に疲れているのに、スーッと体に染み渡っていく優しい甘さは何だろう・・・。目を閉じて液体を飲み込んだ後も、舌の上から余韻が消えないよ?なんだか緊張してこわばっていた体が緩むような。リラックスするって、そういえば肩の力を抜く事だったな〜と、思い出したように肩を上下に揺すってみたりして。そんな私を見て、レネ君は静かに優しく笑った。
 新しく改装した店舗で、レネ君のリキュールをアイスクリームにかけて売ろうと決めていた私は、リキュールとアイスクリームの種類と相性についてレネ君のアドバイスを受けた。彼は自分のリキュールを、より沢山の人に味わってもらえることを、とてもとても喜んでくれた。




 実はマリエンホーフ社は、25ha以上の葡萄畑を有する、ファルツ南部では知られた存在。ただ、著名な一級畑があって、歴史のある醸造家が造るファルツ北部のワインに比べ、どうしても大衆向けというイメージが先行してしまうファルツ南部のワイン。そんな中で収穫量を減らし、伝統的品種に加えて、ブルグンダー系やシャルドネ種など新しい品種にもチャレンジし、バリック仕立ての赤ワインも手がける彼等のワインは、今後良い方向に進むかどうか興味深いところです。テイスティングさせてもらったワインはどれも、肥沃なレス土壌から来ると思われる暖か味のある味わいで、伝統的なリースリング種よりも、ブラウブルグンダーの辛口仕立ての物や、カベルネ ミトス(カベルネ ソーヴィニオンとドルンフェルダーの交配種)、ドルンフェルダー種のワインの方がが美味しいと感じました。毎年畑をちょっとづつ増やして、現在25haほどあるそうな。



フェニンゲナー ドクトールの葡萄畑 剪定が終わり、整然とした葡萄畑
非常に細かいレス土壌 まだ1歳のシャルドネの若樹


 今回の訪問、2週間のドイツ滞在の中日で疲労がピークに達していた時であり、食欲もちょっと落ち、乾燥した空気にやられて喉も痛く、軽く風邪を引いていました。しかしながらレネ君ファミリーの暖かなおもてなしと、(リースリングとドルンフフェルダーのマーマレードを造って下さる)おばあちゃんと、お母さんの造る美味しい郷土料理、噂に違わぬ美味しいデザート、マリエンホーフ社の辛口仕立てのドルンフェルダーの赤ワインのおかげで、レネ君の家の屋根裏にあるゲストルームでグーッスリ眠ることができ、次の日には元気になりました!!レネ君のお父さんと、食後のワインを楽しむことが出来なかったことが悔やまれてなりませんが、それは次回の楽しみにとっておいて、再び(今度は嫁さんも連れて)マリエンホーフ社を訪れることを誓ったのでありました。




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