2008年度が始まったばかりの4月1日、今シーズン最後の降雪・積雪となった朝6時に久々野を出発。積雪で真っ白になった国道41号線の数河峠を越え、富山市内の平野に入ると、コブシやモクレンが咲く春の雰囲気でした。

 最近、年齢の近いお客さんと始めた日本酒の勉強会の影響で、日本酒を開ける機会が増えてきました。飛騨だけでなく、広い視野で日本酒を楽しんだとき、この感動はお客さんにもお伝えしたいと思うようになり、自分の経験値アップの為にも、現場の雰囲気を感じるためにも、お付き合いのある新潟の蔵に行ってみようという事になりました。午前中は妙高にある千代の光酒造さんを訪ね、午後からは知り合いの酒屋さんに紹介頂いた蔵元さんに行くことになりました。



 桜祭りの開催を前に活気あふれる、上越市の高田城に程近い妙高酒造に到着したのは3時前でした。妙高酒造は「妙高山」と「越乃雪月花」の2種類のラインナップを持っています。「越乃雪月花」は日本酒が本来持っている美味しさを消費者に伝えたいとして、ただ美味しいお酒造りを追求しただけではなく、@ビン燗(かん)殺菌法、A低温ビン熟成法という、大きな2つの行程を採用しております。HPで予習はしたのですが、実際にどんな哲学で造っておられるのか?どんな酒質なのか?緊張しながら、まずは蔵の中を見学させていただきました。

 そばにいるだけで元気を分けてもらえるような「生き生きハツラツ♪」とした引間 励位子 社長に見せて頂いたのは、まずは2機並んだ巨大な精米機(写真左)。「うちの様な規模の酒蔵には2機なんてもったいないくらいですけど・・・、」と謙遜されておりましたが、本酒造年度の役目を終えてメンテナンスを受けている真っ最中の精米機は、大事に大事に使われておりました。
 


「妙高山」「越乃雪月花」の蔵元
妙高酒造の入り口
案内をして下さった引間社長
明るく、元気を頂けるお日様のような方です


 ここから平田杜氏も加わって下さり、蒸米器(下写真左)を見せて頂きました。今まで見学させて頂いた蔵では、ほとんどが丸い甑を使って米を蒸していましたが、妙高酒造さんは連続蒸米器を使っておられました。「蒸す」という工程は、βの状態である堅いお米をα化し、麹菌が作り出す糖化酵素が働きやすくするためのもので、とても大事な工程です。甑に比べて連続蒸米器の性能はどうなんだろうと質問をすると、「今までこの蒸米器を使って問題は無かった。むしろ甑のように重ねていくやり方では、甑から米を運び出す時間が必要なので、蒸上がりのムラがあるのではないか?また、積み上げた厚さで下の米は潰れないか?(平田杜氏)」と、おっしゃっていました。始めて見たのですが、効率よく、納得のいく蒸米が造れるそうです。


妙高酒造の連続蒸米器
恥ずかしながら、この時初めて見ました。
日頃口をすっぱくして言っているのは
「品格ある酒造り」


 今回の訪問で一番驚いたのは麹室(上写真右)でした。とにかく広い・・・。今まで見たどの蔵元の麹室より広い。なぜ広い部屋が必要なのか。酒造りの時期は、工程表に従って、次から次へと米が蒸しあがってくる中で、麹室が狭いと中途半端な麹米でも、次の工程に送らないといけません。しかし酒造りの中で人の手が掛けられる最も重要な工程で、ここは手を抜けません。納得の行く麹米を造る為に、人間の工程表の都合ではなく、麹の都合に合わせるためにはこういった広い麹室が必要なのです。さらに驚いたのは、この広い部屋の隣に、さらに吟醸用の麹室があったことです。使い古した蓋麹用の箱が積み上げてありました。造りが終わった直後の、掃除が行き届いた綺麗な麹室でした。

 平田杜氏の研究室(下写真左)です。まさに教授。プロフェッサーです。ここで酵母の保管・培養など行っています。とにかく勉強熱心な杜氏さんで、専門的過ぎて分からない所も懇切丁寧に語ってくださいました。ここで搾り立ての新酒をテイスティングさせて頂きました。明らかに品格を感じる素晴らしい酒質。上のクラスになるほどまだ渋味や硬さがあり、熟成が待ち遠しい新酒でした。


大学の研究室の様です
培養や分析に使う機材が沢山ありました
妙高酒造さんの最もこだわる
火入れライン


 こちら(上写真右)の見慣れないラインは・・・。これが「越乃雪月花」が最もこだわる「ビン燗(かん)殺菌法」を行うラインです。細長いプールのようなステンレスの浴槽の手前半分には熱湯が、向こう半分には水が入ります。手前の熱湯に1升瓶が6本入ったP箱を入れ、向こうへ移動する間に温度が上がり殺菌されます。半分だけ栓をされた瓶の中では、お酒が熱膨張で膨らみ、液面が上がります。それを目視で確認してから、完全に栓を打ちます。その打栓機が写真右の緑の機械です。その後は水のプールで冷却され、巨大冷蔵倉庫に3ヶ月以上保管された後に出荷されます。
 ちなみに搾ったお酒は生のまま-5℃の温度でサーマルタンクの中で保管され、火入れはこの時の1回だけになります。この手作業の面倒な作業を行うために3人の従業員がかかりきりになるそうです。当然大量生産は絶対に出来ません。またこのステンレスの浴槽も、試行錯誤しながら3回作り変えたそうです。驚いたのは、この手間のかかる作業のコストを、「越乃雪月花」の価格に反映していない事です。

 社長の引間さんは、ひたすら前向きで情熱家、さらに感動屋さんとみました。
 日本酒が飲まれなくなっているのは新潟も同じらしく、このままでは埋没してしまうという危機意識の中で改革を行ったようです。火入れや貯蔵・熟成にこだわった高品質なお酒を消費者に届けるために、越乃雪月花は品質管理のしっかりした特約店の酒屋さんにのみ卸すという徹底ぶりです。今まで試飲会を開いたり、イベントに参加したりして、いろんな縁や繋がりを頂いて、頑張っていますとの事です。「梅酒や焼酎など、造らないかと誘われる事もありますが、うちは不器用なので日本酒一筋でいきたいと思います。(引間社長)」 ぶれることなく信念を持って仕事をされています。「王道に近道なしですよね〜」と、握手して来ましたが、長く良い関係が築けそうです。きっちり惚れました。



 以下の越乃雪月花を取り扱いしております。





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